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なんで小説のなかでまで会社のことを考えにゃならんのだ! というご意見はごもっともですが、ホラ、ちょうど新入社員が入って3ヶ月。会社で働くことについて、いろいろ考えたりする時期でもあるはず。そんな人たちの助けになる・・・かどうかはともかくとして、いろんな意味で「会社」で頑張ったりする作品を集めてみました。
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●『空飛ぶタイヤ』(池井戸潤 実業之日本社)
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個人経営の運送会社、赤松運送のトレーラーが起こした人身事故――当初、自社の整備不良を疑っていた経営者の赤松徳郎だったが、点検項目は規定よりもむしろ厳しいもので、ディーラーであるホープ自動車の分析結果にどうしても納得できないものを感じていた。もしかしたら、ホープ自動車のトレーラーには、構造的な欠陥があるのではないか・・・?
かたや月々の資金繰りにも苦労する零細企業、かたや財閥グループにつらなる一大企業。圧倒的な立場的不利と逆境に打ちのめされながら、なお大企業のリコール隠しを証明するために奔走する赤松の姿は、ただ感動するだけでなく、社員の未来を背負う会社の経営者としてのあるべき姿――誠実であることや、物事の真実をあきらかにするという、人としてあたり前のことの重要性を教えてくれる。
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●『カイシャデイズ』(山本幸久 文藝春秋)
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「ココスペース」――社員数四十七名、店舗や商業施設などのリニューアル工事を請け負う内装会社。本書はそんな中小会社の社員の仕事ぶりを書いた連作短編集だが、何よりその社員たちのひとクセもふたクセもある個性が抜群に面白い。
取ってもいない契約をでっち上げて売上見込額を上乗せしたり、頼まれてもないのに勝手に備品を購入したりと、やってることはサラリーマンとしてはかなりメチャクチャなのだが、その一方で「カユいところに手が届く」仕事ぶりを発揮したりする彼らは、「働く」という意識以前のところで会社になじんでしまっているところがある。
会社で働くということについて、「会社人間」といった枠でくくられないその人間性が際立つ会社小説だ。
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●『君たちに明日はない』(垣根涼介 新潮社)
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「日本ヒューマンリアクト(株)」は、企業の人事に代わってリストラ要員となった社員に早期退社をうながすのが業務内容。つまりクビ切りのスペシャリストなのだが、こんなことも仕事として成立してしまうということに、まずは驚いてしまう。
ある意味非常にエグい仕事であり、また人から恨まれることも多い仕事にもかかわらず、読後の感想はその内容に反して非常に爽やか。その理由として、彼が面接するリストラ候補社員たちが、文字どおり今の会社にいてもさまざまな理由でその人自身のためにならないからであり、彼の仕事がその「説得」という側面を担っているからに他ならない。
会社で働くということと、人としての成長がうまく融合した、これもまたまぎれもない「会社小説」である。
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