栗田読書倶楽部Web通信

2009年(平成21年)5月8日

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− 東京とか大阪とか出張とか −

ホントは「東京」がテーマだったはずなのに・・・ゆっくりしていった結果がこれだよ!
 ●『プリンセス・トヨトミ』(万城目学著 文藝春秋)

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 万城目さんの本を読むのはこれが初めてでした。
 最初はちょっと取っつきにくくって、我慢の読書が続きました。が、徐々にエンジンがかかってきて、中盤辺りからはハイペースで読めましたね。それからは最後まで一気読み。読後感も良かったです。
 会計検査院の3人の調査官が、税金の無駄遣いをしてないか大阪に出向いて調査を始めます。すると、一見平和そのものに見える大阪で、とんでもない『事実』を突き止めてしまう・・・。そこに地元の中学生(かなり風変りなので面喰いましたが)が、重要な役どころとして絡んで話が展開していきます。
 舞台は大阪なのですが、いやあ、大阪ならでは(?)の展開というか、大阪だからこそ成立するストーリーというか、全く以て万城目さんの着想が面白かったですね。
 大阪といえば大坂城。大坂城を造ったのは? ダイクサ〜ン!なんてCMを未だに覚えていますが(笑)、大坂城の話も面白かった。
 そもそも大阪人特有の人情があってこその物語。(たぶん)『公然の秘密』ってのがありますよね。誰でも知ってるのに誰も知らないふりをする。もしも大阪にそんな『公然の秘密』があったなら・・・。それも、タイトルにあるように『豊臣家』に関することだったら・・・。ああ〜!凄く言いたいんですけど、これ言っちゃうと読書の楽しみがなくなってしまうと思うので、とりあえず言いません。だって、大阪の人は皆知ってても言ってはいけないんでしょう?(笑)
 戦国モノに興味のある方なら、登場人物の名前を見ただけでピンと来るものがあるかも知れません。でも私はしばらく気づきませんでした。中盤辺りでようやく『なるほど!』と。
 大阪は修学旅行でちょこっと行っただけですが、東京よりも多くの古い建築物があるというのが書いてあったので、その点でも再訪したくなりました。 特に辰野金吾に興味が出ました〜
 ちなみにこの本を読んだら、司馬遼太郎の「関が原 上・中・下」をおすすめしたいな(笑)
 『プリンセス・トヨトミ』のご先祖が出てくるお話です。
 司馬遼太郎も大阪出身だしね。(nyago)
 ●『宿敵(上・下)』(遠藤周作著 角川文庫)

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 仕事柄、出張に行く機会が多い。新幹線、車、はたまた飛行機。(飛行機出張と言えば1月に沖縄に行きましたが、出発日の羽田は年に一回の大雪!まいった!「まいった」ついでにもうひとつ。7月に青森へ行くのに地震!で仙台止まり。仙台からレンタカ−で東北道爆走!なんてのもありました。雨男のはずが・・・)車の場合は自分で運転するので本は読めない(高速爆走?には気をつけましょう!)のですが、よく使う列車の場合は本を読むには最適な空間となります。心配性のためか出張の際はだいたい乗車予定の一時間ぐらい前にはホ−ムにいる(飛行機の場合は二時間前)ので、まずは待合室でパンをかじりながらポチポチ読み始めて指定席へ移動。一旦、出張の資料に「さっと」目を通して、話す内容を頭でまとめた ら、即、切替えて読書に集中。静岡出張が一番頻度が多いので、だいたい一時間。小説なら半分くらい終了。残りは帰りの楽しみにして本はカバンへしまう。帰り道は左手に文庫本、右手にカンチュ−ハイ、口元タバコ、耳には耳栓も忘れず装着。とかなりいそがしい!(ところで、列車での移動中に何かをするのってすごく「お得」な感じがしませんか?私は列車にかかわらず、同時に何かをすることがすごくスキです。移動+酒とか移動+トイレとか・・・)
 さて、先日そんな出張で掘り出し物!を発見しました。「宿敵 上・下」(角川文庫、遠藤周作)です。
 歴史時代小説は好きなんで、かなり読み散らかしたので、もう読む作家ないなぁと思っていたのですが、探すとあるものです。読了後、「ウソ−、遠藤周作にこんな歴史小説あったんかい!ルネッサ−ンス!→古い・・・」でした。最近、良く売れている佐伯さんでは少し物足りない方は是非ご一読を。(サラリ−マン、特に管理職の方々は必読。理由は読んでください。いつの時代もおんなじ。)(ゴルフ54)
− 日本の首都って東京だっけ? −
 東京を舞台とする小説なんて、それこそ星の数ほどあるわけで、そのなかで特に「東京」という都市を意識させる作品があるとすれば、たとえば石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』シリーズのように、作品内で焦点を当てた地域がたまたま東京の街のひとつだった、といった程度のものだ。
『東京シック・ブルース』
(芦原すなお)
 もし作品のなかで東京を強く意識させられるとすれば、それは読み手の思い出のなかにある「東京」と呼応するようなときだ。そういう意味で、芦原すなおの『東京シック・ブルース』は、個人的に非常に東京臭さを感じた作品である。東京の大学に通うために上京してきた青年の青春を描いた本書であるが、そのなかで彼は、当時全国的に吹き荒れていた学生運動に対する違和感を常に抱きつづけている。そしてその違和感は、私がかつて通った大学における、自治会への違和感とつながるものでもあったのだ。私にとっての東京とは、学生時代に感じた故郷の田舎とのギャップと強く結びついている。
 ギャップといえば、外国人の日本へのギャップというのが、なかばギャグのように(サムライ・ゲイシャ・ハラキリ)思い浮かんだりするが、デイヴィッド・ミッチェルの『ナンバー9ドリーム』のなかで描かれる東京は、まるで日本人の作家が書いたのではないか、と思われるほど違和感がない。それは、著者が日本文化への造詣の深さというよりは、むしろ現代の東京を生きる人々、それも若者たちの感覚と近いものを感じさせる作品だからだろう。
『ナンバー9ドリーム』
(デイヴィッド・ミッチェル)
 ところで、「東京タワー」と名のつく小説をふたつほど知っているが、デジタル放送に移行後、はたして東京タワーが「東京」を意識させる存在としてどうなっていくのかを考えると、時代の流れというものをつくづく感じずにはいられない。