栗田読書倶楽部Web通信

2008年(平成20年)10月14日

最新号    ◆栗田読書倶楽部とは?    ◆過去の記事一覧    ◆ホーム

− 特  集 −
おかげさまで30号
読書とともに読書倶楽部

Webとともに紙媒体でも発行してきた「栗田読書倶楽部」が今回で30号になりました。というわけで、今回は本屋さん応援号です。
 ●青木まりこ現象
 ウィキペディアによると【青木まりこ現象】(あおきまりこげんしょう)とは、書店(古書店、図書館などを含む)に長時間いると便意を催すという現象。
 なんでも、青木まりこという人が最初にこの現象について投稿したことから命名されたとか(笑)ちなみに「本の雑誌」に二十三年前に掲載されたのが初出とか。
 たま〜にTVなんかでも取り上げられますよね。この『本屋にいくと便意を催す』というヤツ。小から大まで様々。もちろん中もOKよ。て中てどんなやねん(笑)

『なぜ本屋さんでトイレに行きたくなるのか』
(高橋恭一 主婦と生活社)

 私は今でこそどっぷり本屋に漬かってますのでなんとも感じませんが、確かに昔はそうだったかも!?昔はトイレが無い本屋ってありましたから。無いと分かるとしたくなるのが人情です。
 曰く、本のインクのニオイがそうさせるとか、色んな種類の本から選ばなければいけないという心理的圧迫だとか、どんな本を選んでるのか他人の視線が気になるから、とか様々に言われてますね。本当のところはどうなのか。これで本一冊書けるかも?
 実際トイレを利用する人が多いのは本屋に限ったことでは無いとは思いますが、皆さんもそんな経験はありますでしょうか・・・?気になります。本屋として(笑)
 またこんな本もでています。『なぜ本屋さんでトイレに行きたくなるのか』(高橋恭一著 主婦と生活社)
 確かに本屋のトイレ利用率はすんごいです。朝トイレットペーパーを補充しても、午後にはなくなってたり・・・やはり人は本屋に行くと便意を催してしまうのでしょうか〜。なぜなんだろう?この本ではついにその原因が分かるのか??気になる方はぜひご一読ください。)
 ということは、本屋で一番利用されているのはやはりトイレなのか?トイレが綺麗な本屋はきっと流行るはず、そのためにはトイレ掃除を念入りに行うべし。金運も上がるっていうし?
 そして、この本売り込みたいな〜という方は

 『はい。当店のトイレはこちらですっ!! →→→』

 みたいなPOP付けちゃったりしたらいいかも。(nyago)
 ●読書の秋は夜中に限る、の巻

『悪人』
(吉田修一 朝日新聞出版)

 朝夕とすっかり涼しくなってきました。秋。今年の夏は「猛暑」でしたから、ホッとしている方々も多いのではないでしょうか?秋と言えば、夜中読書。なんでかというと、あたしの場合は、「夜多量の飲酒→爆睡→夜中のどが渇く→目覚める→夜中読書が気持ち良い」という一連の流れのなかで、秋が一年を通して一番良いからです。(冬は寒くてフトンで読みにくい、春は花粉症、夏は蚊に刺されていて集中力なし)
 さて、今月のおススメは「悪人」(朝日新聞出版、吉田修一)。「えっ−、今更遅くねぇ-か?」という声は無視して、書くぞ!(とは言っても、やはり本には「読み時」ってありますよね。
 読もう、読もうと思っていて枕元に鎮座している本ってありますよね?)吉田修一は前から好きで、ほぼ全作品読んでますが、本作は今までの吉田修一を完全に脱皮した新境地。物語としては、今流行り?の出会い系サイトで知り合った男女が殺人にまで到る過程を書いたもの。ただし、タイトルの「悪人」って結局は誰なんだ?と考えさせられました。連日、ニュ−スで本当に簡単に殺人が行われていて、ぼくらも感覚が麻痺していますが、生きていくっていう「原罪」と「殺人」は表裏一体なんだと改めて感じた次第です。殺人の動機っていうのは、ある一瞬に芽生えてしまうことも感じました。秋の夜長を読書に耽りたい方にはオススメです。
 最後に、今月期待の1冊を紹介します。『ワルツ 上』(角川GP、花村萬月)です。なんと、上、中、下の3巻構成らしく、毎月一冊刊行!いや−、うれしい。久しぶりのエンタメ小説みたいだし、たまりません。感想は次号にて。
− がんばる本屋さんの小説 −
 読書の秋です。今回は日頃お世話になっている書店への感謝の意をこめて、いろいろ頑張っている本屋さんを舞台にした作品を紹介します。
『配達あかずきん』
(大崎梢 東京創元社)
 まずは有名どころとして、大崎梢の『配達あかずきん』。駅ビルの六階にある「成風堂書店」を舞台に、本屋ならではの謎を追うという「日常の謎」ミステリの本書は、本屋ではたらくふたりの女性の絶妙なコンビぶりもさることながら、何より人々が本屋に求めているもの――本屋に来れば、わからなかったものがわかる、見つからなかったものが見つかる、というテーマ性がミステリとうまくつながっていて、本屋の魅力あふれた作品となっています。
 いっぽう碧野圭の『ブックストア・ウォーズ』は、さながら「プロジェクトX」を思わせる奮闘記。前の店長の尻拭い同然にペガサス書房K店の店長になった西岡理子が、さまざまな逆境にさらされつつも、店舗存続のため売り上げ増大に向けて奔走する様子は、前半のいかにも「嫌な女」というイメージを一気に吹き飛ばす勢いがあります。本を愛するという気持ちで店員やアルバイトたちの結束が固まっていく展開も熱いです。
『ブックストア・ウォーズ』
(碧野圭 新潮社)
『東京バンドワゴン』
(小路幸也 集英社文庫)
 最後に、これは書店ではなく古書店になりますが、小路幸也の『東京バンドワゴン』。本書に登場する堀田勘一は、もうすぐ齢八十ながら古本屋「東京バンドワゴン」の三代目店主なのですが、「必要な本は必要な人の手に渡るべき」という信念のもと、頑固親父さながらの経営をおこなっています。ただ、信念だけでは経営は立ち行かないみたいで、店舗の半分は喫茶店に改造、息子夫婦たち若い家族がきりもりしているというのが妙に現実味があったりします。
 ネット書店の隆盛などで、書店にとって厳しい時期がつづきますが、こうした作品を読むと、あらためて書店の良さを実感します。もしかすると、こうした小説のなかにこそ、書店の今後を考えるヒントが隠されているものかもしれません。