− 特 集 −
読書倶楽部メンバーによるオススメ本紹介
(その4)
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●『川の名前』(川端裕人 早川書房)
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@皆さんの夏休みの思い出といったらなんですか?
A心に川は流れてますか?
唐突な質問で失礼しました。でも、この物語の多くを語ってはこれから読む人に失礼だし、私の下手な文章でダラダラ紹介しても、面白さは伝わらないでしょうから。
物語の主人公は小学5年生の男の子。受験や部活といった束縛が始まる前の小学生時代の夏休み。ワクワクドキドキしながらその時が来るのを待っているところから物語は始まります・・・で質問@へ戻ります。育った環境や時代背景で思い出も変わってくるでしょうね。でも主人公とその仲間たちほどの冒険譚を思い出として持っている人はなかなかいないだろうな、と自問自答しながらもどんどん物語の中へ引き込まれていきます。教室の窓から垣間見えた物体の正体を突き止めるために少年たちは動きだし、物語はズンズン進んでいきます。最後は『ガンバレー!』と叫びながら読んでいるかも。
キーワードはタイトルにもある通り『川』です。不思議なタイトルですが、読み進むうちに納得。これがなかなか意味深なんだなぁ。とここで質問Aへ。いきなりこう聞かれても、なんのこっちゃ?と疑問符がつくばかり。ちょっとだけヒントです。皆さんも子供の頃遊んだ川や川原を思い出してみてください。その川が故郷の景色と一致する人や、今でもその川の近くに住んでいる人ならすんなり入っていけますよ。川は海へつな がり、海は世界へつながっている・・・。自分にも川の名前をつけるとしたら、やっぱり故郷の大瀬川かな。まだまだ海にもたどりつけていないかもしれない。何歳になっても、地に足つけて生きていく事は大事ですよね。そこから繋がって行くのだから・・・。
ウダウダ駄文を読むよりもまずは店頭で現物を見て下さい。帯の椎名誠氏の惹句で十分。さあレジへ直行しましょう。 (よっちゃん)
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− 夏と文学散歩 −
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夏、といえば、まとまった休日を利用して冷房の効いた部屋で買いっぱなしになっていた本を読んで読みあさるって、ちょっと待った。
無論、本好きにとってはそれでも良いけれど、せっかくの長き休暇なんだし、活字とにらめっこせずに本を読むのと同様の体験をするのも良いのでは。例えば「文学散歩」なんか如何でしょうか。
初めての文学散歩はかれこれ十年前の八月、愛知県は半田市。知多半島の中央部に位置する、かつては醸造・繊維で栄えた古い町、そして、ここはかの宮澤賢治と並び称されることも多い童話作家、新美南吉の故郷でもあります。
南吉といえば「ごんぎつね」や「てぶくろを買いに」など、人間と動物のふれあいを描いた民話的な作品が有名だけれど、個人的には晩年の「ごんごろ鐘」「最後の胡弓ひき」のような郷土性の強い、人間の生活に根ざした作品に強い愛着を覚えます。
さて、名古屋から名鉄線に乗り、「半田口」で下車。改札を抜け常滑市方面を見渡せば、起伏の少ない、ただたた平野が続くまさに南吉童話の世界(ただし十年前)。この先が「おじいさんのランプ」や「牛をつないだ椿の木」に出てくる地名、「岩滑新田」「しんたのむね」なのだな、今、自分が歩いている道を和太郎さんも牛をひいて歩いていたのだな、と色々想像なんかもしたりして実に楽しいものです。しかしこの辺り、太陽を遮るものがなにもなく、土地柄もあるのだろうが、とにかく暑い。汗が止まりませんでしたよ。
そうこうしているうちに「新美南吉記念館」に到着(この建物は周りの景観を崩さないユニークなつくりになっており、一見の価値あり)。南吉ゆかりの展示品を見たり、喫茶店で「南吉クリームぜんざい」(なんの変哲もないクリームぜんざいだった)を食べたりして、汗がひいたところで記念館を出る。歩いてきた道を引き返し、駅へ。これにて文学散歩終了。充分満喫した一日となりました。
これがきっかけである作家を好きになると、書かれた作品の背景や作家自身の育った場所にも興味を持つ様になり、しばらくの間、文学散歩は続くのでした。
最後に数多く出ている南吉の本の中でも個人的に特に目を通したと思われる二冊を挙げておきます。
●『ごんぎつね・最後の胡弓ひき ほか十四編』 (講談社文庫 \466)
●『花のき村と盗人たち』 (講談社文庫 \369)
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